こんにちは!ブダペスト在住Webデザイナーのみほこです。
最近、Web制作やマーケティングに関わる人たちの間で、こちらの動画が話題になりました。
この中で、HubSpotのCEO ヤミニ・ランガン氏が「Google検索の60%以上がクリックされていない」というデータを紹介し、「SEOだけではもはや通用しない」と警告していました。
たしかに、私のまわりでも、マーケティングに関わる人が「Google広告の効果が以前よりかなり落ちている」と話していたりします。
検索連動型広告(Search Ads)であるGoogle広告も、検索によって表示されるものです。この流れだと、落ちていくのも当然。
検索→クリック→CV(コンバージョン)というシンプルな流れは、もう当たり前ではなくなってきているのは確実です。
では、SEOはもう意味がないのでしょうか?
そして、これから私たちはどんなWeb戦略を考えるべきなのでしょうか?
AIOとは?SEOとの違い
最近注目されているのが「AIO(AI Optimization)」という考え方です。
AIOとは、ChatGPTやGeminiのようなAI検索ツールに、自分のWebサイトの情報が正確に拾われるように設計するというアプローチ。
従来のSEOが「Googleのアルゴリズムに最適化すること」だったのに対して、AIOは「AIに理解され、参照されるための設計」に重きを置きます。
たとえば、
- 論理構造のはっきりした文章(見出し・箇条書き・FAQなど)
- シンプルで明確な表現
- 情報の信頼性や網羅性
などが、AIOにおいて重要視される要素。
ではこれからはAIOをメインに頑張ればいいの?
いいえ、これは「SEOはもういらない」「今後はAIOだけやればいい」という話ではないんです。
AI検索、SNS経由の流入、YouTubeやPodcast、Pinterest、従来の検索などなど・・・・
ユーザーの行動は多様化していて、どれか1つに頼るのではなく、複数のプラットフォームを連携させて全体を設計する必要があります。
そして何より大事なのは、せっかくWebサイトに来てくれた人を逃さないこと。そのためには、強いブランドが必要不可欠です。
- 「この世界観、好き」と思ってもらえるか
- 「この人にお願いしたい」と感じてもらえるか
- 「他と比べる気にならない」と思ってもらえるか
AIOだろうがSEOだろうが、広告だろうがSNSだろうが、最終的に選ばれるのは「人の感情」。
だからこそ、私はWebサイトを「検索対策のための場所」としてではなく、“ブランド体験の場”として作ることを大切にしています。
世界観や空気感は、AIには要約できない
自分の好みのレストランや、ファッションなどのブランド等を探すために、ChatGPTで検索したことがある方も多いでしょう。
その結果はどうでしたか?
いくら、文章で細かく説明しても、なかなか好みのものを提案してくれない、といった経験も多いでしょう。
AIはこういった、雰囲気や、ふわっとした感覚的なものに対して強くありません。
ChatGPTがどれだけ正確な情報を返してくれても、ブランドの“空気感”までは伝えられません。
たとえば私が大好きなフランスのブランド「Sézane(セザンヌ)」の魅力って、商品のスペックだけじゃない。
写真、言葉、配色、佇まい。その一つひとつが丁寧にデザインされていて、「なんか好きだなあ」と思わせてくれる。
Webサイトにも、そんな“なんか好き”が必要です。
AIが情報を要約しても、その「感じのよさ」や「信頼感」までは伝わらない。
だからこそ、人にしか作れない“感情に届く体験”を、Webでどう表現するかが、ますます大事になってくると感じています。
Webサイトに求められるのはデザインだけでなく“伝わる構造”
私がWebサイトをつくるときに大切にしているのは、「デザイン性」だけでなく、「伝わる構造」です。
どんな順番で読ませるか?
どんな言葉で共感を引き出すか?
どこに安心を、どこに情熱を置くか?
これらは、単なる装飾ではなく“思考のデザイン”だと思っています。
それがあるからこそ、見た人が「この人、信頼できそう」「このブランド、いいな」と感じてくれる。
AIOの時代になっても、こうした“人にしかできない設計”は、より価値が高まっていくはず。
AI時代だからこそ、伝わるWebサイトを
SEOだけでも、AIOだけでも足りません。
Webマーケティングは、すべてを満遍なく、つながりを持たせて取り組むべき時代に入っています。
大変な時代になってきました。でも、Web環境が成熟し、それを利用する人々も成熟してきました。
私は、ブランディングをしっかりと行ってきた企業がより選ばれやすくなる、とも考えています。
ブランディングをしっかりと行ったら、あとは、
情報発信のプラットフォームを広げていくこと、
どんな入り口から来ても受け止められる設計をしておくこと、
そして、来てくれた人が「ここだ」と思えるブランド体験を用意しておくこと。
そのすべてがつながって、Webサイトは「ただのページ」ではなく「選ばれる理由」になるのだと思います。
それでは、また!