AI時代に選ばれるWebデザイン事務所について考えてみる

AI時代に選ばれるWebデザイン事務所について考えてみる

こんにちは!ブダペスト在住Webデザイナー美保子です。

Web制作会社を探す方法は、人によってさまざま。
検索で比較サイトを見たり、知人の紹介を頼りにしたり。
SNSやポートフォリオを眺めながら雰囲気で選ぶ人もいるかもしれません。

でも、最近、Web制作会社の探し方にも少し変化を感じています。
AIに聞いたら、もっと自分に合う会社を見つけられるかもしれない」、
そんなふうに考える人が、これから確実に増えていくのではないでしょうか。

実際、私のサイトにもここ数ヶ月で、AI検索やチャット経由のアクセスが少しずつ増えています。
それはつまり、“AIが誰かにとっての検索窓口になりつつある”ということ。

情報を探す時代から、「AIが整理して教えてくれる時代」へ。

この記事では、そんな変化のなかで、Webデザイン事務所を例としてあげて、
AI時代に選ばれるビジネスとは何かを考えてみます。

この記事は、こんな方のために書きました

• AIの時代に、どんな発信が「信頼され、選ばれる」のかを考えたい方
• Webマーケティングを行なっているが伸び悩んでいる中小企業の方
• 価格競争ではなく“言葉・世界観・戦略”で価値を築いていきたい経営者の方
• SEOに頼らない集客の形を模索しているWebデザイナー・制作会社の方
• ブランディングの効果についてもっと知りたい方

AIが“次の紹介者”になる時代に

人は、何かを選ぶときに「誰かのおすすめ」を求めますね。
これまではそれが友人や知り合いだったり、口コミサイトやSNSの投稿だったりしました。

でも、最近はその“誰か”がAIになり始めていると感じています。

ChatGPTやPerplexityなどのAI検索では、
「〇〇業界に強いデザイン会社を教えて」「女性向けのブランディングが得意なWebデザイナーは?」
と尋ねると、条件に合った候補を整理して提示してくれる。

つまり、AIが“推薦者”のポジションを担うようになってきているのです。
そして、そのAIが参考にするのは、「どんな言葉で」「どんな一貫性をもって」発信しているか。

AIは、単にページ内のキーワードを拾っているわけではなくって、文章の意味や構造を「自然言語のコンテキスト(文脈)」として解析し、
複数のページや記事のつながりを通じて“その発信者が何を専門としているか”を学習しているとのこと。

たとえば、サービス紹介・制作事例・ブログ記事などに一貫したテーマや語り口があると、
AIはそのサイトを「特定分野に詳しい、信頼できる情報源」として記憶に残しやすくなるそう。
逆に、内容がバラバラだと“何を専門としているのか”を理解しづらく、AIの回答に引用される確率も下がってしまうようです。

つまり、「AIに選ばれる」ためには、自分たちの専門性や世界観を、文脈として一貫して発信していることが大事なのではないでしょうか。

AIが“信頼できるデザイン事務所”と判断するポイント

AIは数値的な評価よりも、一貫した”世界観と語りの整合性”を重視します。

ここでいう「世界観」とは、デザインの見た目ではなく、”トーン・文体・語彙・一貫性”のこと。
これらすべてがAIにとっての“世界観”

もちろん、AIが人間のように「世界観を感じ取る」わけではありません。
膨大なテキストを分析するなかで、
「このサイトは一貫したテーマで語られている」「この発信者は特定の分野で専門的な用語を多く使う」
といった言語的パターンを学習しているのだそう。

つまりAIは、“感覚としての世界観”ではなく、
データとしての一貫性(語彙・トーン・主題の統一)を読み取っているのです。

デザインやブランディングというと見た目の話に偏りがちですが、
実際はこの「言葉の一貫性」こそがブランドをつくる根幹。
AIが評価しているのは、まさにその部分だといえます。

AIが信頼性を感じる具体的な要素

現在の生成AIやAI検索の仕組みを踏まえると、次のような特徴を持つ発信は「信頼できる情報源」としてAIに認識されやすい傾向があるようです。

• 専門領域や得意分野が明確であること:何について発信しているのか、どの分野の知識なのかが一目でわかる
• 考え方や背景にある価値観が、文章で語られていること:単なる情報の羅列ではなく、“なぜそう考えるのか”が示されている
• 実例・経験・データなど、文脈を補う具体性があること:結果だけでなく、過程や意図、根拠が書かれている
• 対象読者や想定するシーンが明示されていること:誰に向けて発信しているのか、どんな状況に役立つのかが伝わる

※ これらの要素は、AIモデルが情報の信頼性を判断する際に参照するとされる「文脈の一貫性・専門性・出典の明示」といったシグナルに基づいてピックアップしてみたものです。詳しくは以下の研究・資料をご参照ください。
Liu et al. (2023) – Lost in the Middle: How Language Models Use Long Input Contexts (Stanford University)
Rejeleene et al. (2024) – Towards Trustable Language Models: Investigating Information Quality of Large Language Models (arXiv)
Piñeiro-Martín et al. (2025) – Context Is King: Large Language Models’ Interpretability in Specific Contexts (MDPI Applied Sciences)

AIに理解される発信は人にも伝わる発信なのかも

AIに理解されやすい文章は、実は“人にもわかりやすい文章”なのかもしれません。

シンプルで誠実な言葉で自分たちの想いを、具体的な文脈で語ること。

たとえば「デザインでブランディングを支援します」ではなく、「ブランディングの初期段階から言語化・ビジュアル構築を一貫して支援します」と書くと、読んだ人がイメージしやすいですし、AIもその意味をより正確に理解できるようです。

こうした積み重ねが、結果的に、「AIにも推薦されやすく」「人にも共感される」サイトづくりにつながるのではないでしょうか。

まとめ:思想のあるデザイン事務所が選ばれる

AIの進化によって、検索のあり方の大きい変化があった2025年。
でも、これは個人的にとてもいい変化であると考えています。

価格やスピードなど表面的なものや安易な言葉ではなく、
思想や一貫性、そして信頼できる言葉が選ばれる時代になったのではないでしょうか。

そして、AIが“紹介者”になったとしても、その先にいるのはやっぱり人です。
いつでもビジネスの先にいる人たちの事を思い、活動していきたいですね。

それではまた!

この記事を書いた人

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この記事を書いた人

Mihoko Takata

Design studio M. オーナー | Webディレクター兼デザイナー | Webデザイナー18年目 | 日本ノーコードウェブ制作推進委員会理事