Webサイト制作、予算とできることのギャップ

こんにちは!ブダペスト在住WebデザイナーDesign studio M.オーナーの美保子です。

Webサイト制作についてご相談を受けていると、
「50〜100万円くらいなら、十分に投資しているはず」と考える企業の方が多いように感じます。

確かに、この金額は経営にとって小さくない決断ですし、
「これだけかければ、しっかり成果が出るサイトになるだろう」
と期待するのは自然なことですよね。

でも、実際の制作現場では少し違った見え方をしています。

50〜100万円でできること

Webサイトを作るには、要件定義・情報設計・デザイン・実装・SEOの基礎対応など、
いくつもの工程をきちんと踏んでいく必要があります。

それぞれの工程では、公開後に不具合が起きないように確認を重ねたり、
想定外のトラブルを減らす工夫をしています。

こうした作業を丁寧に積み重ねると、
制作会社やデザイナーにとって利益はそこまで多く残らないのが正直なところです。

そのため、この予算帯で実現できるのは、
「会社紹介を中心としたシンプルなWebサイト」になることが多いです。
言い換えると、“最低限のオンライン拠点”を整えるイメージに近いかもしれません。

どうしてギャップが生まれるのか

このギャップの背景には、「払う側の感覚」と「実際に必要な作業量」のズレがあります。

• 依頼する側の感覚:50〜150万円も払うなら、それなりに“ちゃんとしたもの”になるはず
• 制作する側の実情:必要な作業を一通りやると、その金額ではほとんど余裕がない

つまり、外からは見えにくい工程や確認作業が多いことが、このギャップの原因になっているのです。

公開作業だけでもこれだけの工程が

たとえば「サイト公開」と一言で済ませてしまいがちですが、実際には多くの工程があります。

あるクライアントのリニューアル公開を担当したときは、ざっとこんな流れでした。

  1. サイト公開手順書を作成
  2. 公開前チェックリストを用意
  3. 公開後チェックリストを作成
  4. 不要ページのリダイレクト設定
  5. サーバーのファイルの整理
    (2012年から残っていた大量の古いファイルがサーバーを圧迫してました)
  6. 旧サイトのバックアップ
    (ファイル数が多すぎてバックアップが何度も失敗し、最終的にサーバーに直接バックアップを取るだけで半日かかりました汗)
  7. WordPressをインストールし、新しいデータを上書き
  8. 全ページの表示とリンクをスマホ・PCの両方でチェック
  9. セキュリティソフトの設定
  10. サイト公開

簡単にまとめてもこれだけあり、実際には細かな確認ややり取りも加わって、一人で丸3営業日ほどかかった作業でした。

「サイト公開」というシンプルな言葉の裏側に、これだけの工数が隠れているのです。

ギャップを埋めるには?

では、この予算と期待の差をどう埋めていけばよいのでしょうか。
考えられる方法はいくつかあります。

目的を絞る
すべてを一度に詰め込むのではなく、一番大切な部分に集中する。

段階的に育てる
まずは基礎サイトを立ち上げ、運用しながら機能やページを追加していく。

仕組みを活用する
テンプレートや既存サービスをうまく使って、コストを抑えつつ形にする。

予算を上げる
本格的に成果を出したいなら、200〜300万円以上を見込んでおく必要がある場合もあります。

まとめ

Webサイト制作の「予算とできることのギャップ」は、特別なことではなく、よくある現象です。
依頼する側が「このくらいで十分だろう」と思う気持ちも自然ですし、
制作する側が「それでは最低限しかできない」と考えるのも当然のこと。

大事なのは、その構造をお互いに理解した上で話し合うことです。

予算と期待の差をどう埋めていくか。
そのコミュニケーションこそが、Webサイト制作を成功に導く大事なポイントになるのではないでしょうか!

それでは、また!

この記事を書いた人

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Mihoko Takata

Design studio M. オーナー | Webディレクター兼デザイナー | Webデザイナー18年目 | 日本ノーコードウェブ制作推進委員会理事