ウェブサイトの事業というと、新規制作やリニューアルが「花形」というかメインだと思われがちですが、私が一番大事だと考えているのは、実は「保守運用」です。
ウェブサイトというのは作って終わりではありません。システムの上に乗っているものなので、常にアップデート管理をしないと維持できませんし、そもそもウェブ上にほったらかして良いものではなく、日々の活用こそが一番大事なものだからです。
ですから、サイト制作自体も保守運用を意識したものであるべきです。作って終わりで更新ができないようなサイトではなく、「こういう運用をしたいから、こう作ろう」という考えで作るべきだと思っています。
なお最近はAIのプロンプトだけでウェブサイトが作れるようにもなりましたが、デザインや内容への疑問に加えて、一番は「保守運用しつつ長く使えるものができるかどうか」という点に疑問が多すぎるため、クライアントさんの制作に即採用することはせず、今は慎重に見極めている段階です。
保守運用は「何かあった時に動いてもらう権利」
そもそも「保守運用」とは何なのか。知識があまりない方にとっては「何もしない月もお金を払うサブスク」のように思われるかもしれません。
ですが、これは「何かあった時に制作会社にすぐ動いてもらうための権利」、つまり保険の考え方だと思ってください。
サイトがどういう経緯で作られ、どのサーバーで動いているかを把握している会社が常に管理しているからこそ、何かあった時にすぐ対応できるのです。もし保守に入っていなければ、情報の整理から始めなければならず、バックアップも取っていなければ復旧そのものが難しくなってしまいます。
「名刺代わりのサイトだから壊れてもいい」という場合は別ですが、1日に何十人何百人も訪れ、そこから申し込みが入るようなビジネスであれば、数時間サイトが見られなくなるだけで大きなチャンスを逃してしまいます。そうなるぐらいなら、月々コストをかけてでも制作会社に管理をお願いしておいた方が良いでしょう。
具体的にどんなことをしているのか
当事務所の場合、保守運用で以下のようなことをさせていただいています。
- システム保守: WordPress本体や、プラグイン、テーマの更新管理。自動アップデートで不具合が起きた際のロールダウン対応。
- セキュリティ対策: WordPressは狙われやすいため、悪意のある侵入を防ぎます。放置されているサイトだと、いつの間にかスパムファイルが入り込んでいることが本当にあるんです。
- 定期バックアップ管理: これが一番大事です。私は有料のプラグインを使い、週に一度自動バックアップを取っています。これさえあれば、何があっても元に戻せます。
- サーバー管理: SSLの更新確認やPHPのバージョン確認、容量の監視など。古いサーバーだと中身がぐちゃぐちゃになって重くなっていることもあるので、掃除をすることもあります。
また、サイトダウン時の復旧やマルウェア感染時の対応も行います。中にはサーバーを消してしまったお客様もいらっしゃいましたが(笑)、手元にバックアップがあるので、1時間以内には元通りに復旧させました。
何もない月にお金を払うのがもったいないと感じられないよう、当事務所の場合は「月合計1時間までの軽微な修正・更新対応」を作業内容に含めて、納得感のある設定にしています。
保守運用で「事業者の質」を見極める
他社の例では、独自のシステムに依存させて「契約を切るならサーバーも引っ越して、有料プラグインも全部回収します」という、いわゆる囲い込みのような保守をされているところもあります。
それが一概に悪いとは言いません。お客様側で管理する手間が省け、コストが安くなる場合もあるからです。ただ、私はあまり好きではないのでやりません。お客様が「他の事業者がいい」と思った時にいつでも変えられるように、サーバーなどは個別契約をお勧めしています。
Web事業者探しは本当に難しく、変なところも多いです。だからこそ、まずは保守運用からお願いして、その事業者の質を見極めるというのも一つの手です。
- ちゃんと話が通じるか、納得するまで説明してくれるか。
- 「こうしたらいいですよ」というプラスアルファの提案があるか。
- 契約の引き継ぎがスムーズにできるか。
実際、前任の会社から引き継ぐ際に、管理権限を持ったまま返してくれない、質問しても適当な返事しか来ない、というトラブルを何度も見てきました。そういう不誠実な対応をされないためにも、保守運用を通じて信頼できるパートナーかどうかを確認するのは、賢い選び方だと思います。
事業者としても、保守を通じてお客様の事業を理解できていれば、その後のリニューアルなどの大きなプロジェクトも非常にやりやすくなります。
自社のWebサイト周りの作業、どこにお願いしよう、、と悩まれているのでしたら、相性を見極めるためにも、まずは運用の依頼から入ってみることをお勧めします。