この記事でわかること
- 広告運用や業者への「丸投げモデル」が通用しなくなっている理由
- なぜ今、中小企業に「自社運用(内製化)」と「一次情報」が必要なのか
- 社内にノウハウを残す「伴走型ディレクター」の具体的な役割と支援事例
最近、広告効果の低下やSNS集客の厳しさについて何度もお話ししてきましたが、今、Webマーケティングは過去最高に厳しい状態なのではないかと感じています。
大企業・中小企業だけでなく個人やインフルエンサーの方も含め、みんなが一斉にWebマーケティングに乗り出し、競合は増える一方です。それと同時に、発信するプラットフォームも大きく増えました。
以前は「動画ならYouTubeだけ」「ブログならアメブロだけ」「SNSならTwitter(現X)やInstagramくらい」という時代だったと思います。しかし今では、Instagram、TikTokをはじめ、様々なアプリやプラットフォームが存在します。動画系やブログ・テキスト系でもnoteなど多様な選択肢があり、プラットフォームは増える一方です。「一つのSNSを頑張ればいい」「広告でお金を出せばいい」という時代は、もう終わってしまいました。
ただ、ビジネスをする多くの方にとってWebマーケティングは必須である一方、やるべきことが多すぎて「現場でどう回していくか」が大きな課題になっているのではないでしょうか。
広告代行・丸投げ運用の限界
SNSが当たり前になっていく中で、これまでは「業者への丸投げ」、いわゆるSNS運用代行やGoogle・Meta(Facebook)などの広告運用代行が非常に増えました。実際に業者へ丸投げしていた企業や担当者の方も多いと思います。
しかし現在、私の周りのWeb事業者(広告代行などをされている方々)からも、「以前と同じやり方で広告運用をしていても効果が出にくくなった、かなり落ちてきている」という話を直接耳にします。また、Web制作会社や広告代理店さんなどでも「案件自体が厳しくなってきている」という声を本当によく聞きます。
これまでは、少し予算を割いて広告代理店に頼み、代理店側も確立されたマーケティング手法や経験・知識に基づいて運用していくモデルが成り立っていました。しかし、そのやり方が完全に曲がり角を迎えていると感じます。従来のハウツーが通用しない、本当に難しい時代に差し掛かっています。
もちろん、背景にはAIの台頭も大きく影響しています。
では、なぜ従来の代行が効かなくなってきているのか。そして中小企業や個人の皆さんが取るべき現実的な戦略とは何なのか、Webディレクター目線で深掘りしていきます。
なぜ「代行業者への丸投げ」が効かなくなったのか?
1. 広告のAI化・自動化が進み、設定の難易度が下がった
まず挙げられるのが、広告運用のAI化・自動化の整備が進み、運用そのものが簡単になった点です。効果が出やすい場所にAIが自動で配置してくれるのが、近年のGoogleやMetaの広告システムです。細かな手動調整をするよりも、アルゴリズム任せ(オート)にした方が成果が出やすい形になってきています。
私自身、もともと広告の設定があまり得意ではありませんでした。設定項目が多く、ターゲティングもこれで合っているのか分からないことが多かったのですが、最近は設定自体がとてもシンプルになり、ある程度任せても機能するようになっています。
つまり、「設定技術そのもの」のハードルが下がっているのです。こうなると、代理店に依頼するかどうかは「単純に社内リソースを割くか、それをお金で解決するか」という話になってきます。代理店側としても、費用を払ってまで頼みたいと思ってもらえる価格帯や内容を維持するのが難しくなり、価格競争や依頼離れにつながっている現状があります。
2. 人間の「温度感」への回帰
もう一つの理由は「人間の温度感」への回帰です。特にAIが登場して以降、AIで作られた文章や画像といったクリエイティブは、どうしても「ありがちなもの」になりがちです。
そもそも広告でよく見かける「クリックされやすい」「売れる」といった、ありがちな煽り文句は世の中に溢れかえっており、ユーザー側もすっかり見飽きています。
だからこそ今、求められているのが「自社ならではの一次情報」です。
- 会社の経験に基づくリアルな話
- 開発の裏側
- お客様からの生の声・評価
- 中の人のこだわりや、そのサービス・プロダクトを届けている経緯
こうした、泥臭くても誠実な自社ならではの一次情報が好まれる傾向にあります。「言い回しが綺麗すぎない、泥臭くて人間味のある文章の方が親感が持てて読みやすい」という声も本当によく耳にします。
中小企業が目指すべきは「内製化(自社運用)」
では、こうした状況の中で中小企業は何を目指すべきかというと、「内製化(自社運用)」です。
作業自体はAIなどのツールを活用できる時代だからこそ、外部への丸投げではなく、自社内から発信していくチーム体制(仕組みづくり)を作ることが一番の強みになります。
もちろん、「コスト面を考えても自社内で回せた方がいい」ということは皆さん理解されているはずです。それでも内製化が進まなかった理由は、主にリソースとノウハウの壁にあります。「一から学ぶよりプロに丸投げした方が早い」と考えるのは自然ですし、リソースがあっても「担当者がいない」「何から勉強すればいいか分からない」とつまずいてしまうわけです。
これからの外部パートナーの役割=「伴走型ディレクション」
そこで重要になるのが、私たちのような外部パートナー(Webディレクターや制作会社など)の立ち位置です。
これからの外部パートナーに求められるのは、作業の代行ではなく「運用マーケティングディレクター」としての役割です。
ディレクションとは、方向性を決め、リーダーシップを取って導いていく役割のことです(※ディレクションの重要性については、以前こちらの記事でも詳しくお話ししています)。
単なる作業代行はAIでも代替できるようになっていきます。そうではなく、知識や経験のある人間が道筋を決め、クライアント側のチームが「自走」できるようにインフラやオペレーションを整えていく立ち位置が極めて重要になります。
外部パートナーが担う具体的な支援内容
- 戦略の骨組みを作る
- 「誰に・何を伝えるか」というペルソナや自社バリューの整理、ターゲティングの設定。
- 内製化のオペレーション・運用設計
- 社内リソースに合わせて「何をどの頻度で運用するか」を設計。
- 実際の更新ガイドラインの作成や、専門知識がなくても状況が把握できるデータ解析ダッシュボードの構築。
- 定期的な振り返りと軌道修正(伴走支援)
- 運用開始後に出てくる課題や効果を見ながら、一緒にデータを確認し、軌道修正や新しい取り組みを提案する。
この形は、企業側にとっても大きなメリットがあります。丸投げしてしまうと契約終了時に社内に何も残りませんが、伴走支援であれば社内にノウハウと発信体制という資産が蓄積されるからです。
外部パートナー側にとっても、立ち上げ初期の市場リサーチや準備にはパワーが必要ですが、一度仕組みが走ってしまえば、作業時間に追われすぎることなく価値の高いサポートを提供できます。
実際の支援事例
実際に私が担当しているマーケティング支援の例をご紹介します。現在、ウェディングドレスの会社さまのマーケティング支援を月額で担当させていただいています。
具体的に行っている内容は以下の通りです。
- アクセス解析と戦略設計
- サイトのアナリティクスを分析し、流入数やお問い合わせ・試着予約(コンバージョン)をどう伸ばすかを検討。
- 小さな会社様だからこそ、社内リソースのキャパシティをしっかり見極めた上で、「無理なく何ができるか」の戦略を組み立てる。
- SNS運用の提案と自動化
- 実際のSNS運用は自社のスタッフ様が行っています(私は分析とアドバイスを担当)。
- もともとInstagramを中心に運用されていましたが、ドレスという商材と相性の良いPinterest(ピンタレスト)の併用をご提案。
- 社内リソースを圧迫しないよう、Instagramと連携して自動投稿できる仕組みを整え、運用の負担を増やさずに発信プラットフォームを拡張。
- アカウントの最適化と第三者視点のアドバイス
- Instagramのプロフィール文やリンク導線の整理、回遊性の改善。
- 「投稿内容」自体は現場のスタッフ様(中の人)が一番魅力を理解しており上手ですが、ずっと続けていると社内だけではネタに困ったり視野が狭くなったりすることがあります。そこに第三者目線・プロの視点からアイデア出しやアドバイスを実施。
このように、社内だけで手詰まりにならないための「専用外付けデバイス(外付けメモリ)」のような感覚で関わらせていただいています。
まとめ
Webマーケティングは、「業者への丸投げ」の時代から、「自社で無理なく運用していく」時代へと変わっています。
社内の中にしっかりとした発信体制を作り、外部のプロにはその「伴走」を頼む。環境が厳しくなっている今だからこそ、このシフトが中小企業にとっての確実な生存戦略になります。
皆さんの会社のマーケティングはいかがでしょうか?
知識がないからと、業者へ丸投げになっていませんか?自社で回そうとしているけれど、継続できなかったり効果が見えなかったりしていませんか?
ぜひ一度、外部パートナーとともに「自社で回せる仕組みづくり」を進めるという視点で、自社のマーケティング体制を見直してみてください。